嫁姑問題は犬も食わない。
義理の両親とうまく付き合っていくにはどうしたらよいのか。
これは人類の永遠のテーマだろう。
元々の性格の合う合わないもあるだろうが、国際結婚だとやっぱハードル上がるっしょ。
いや、逆に違いすぎて諦めがつくパターンもあるかも。
私の義理の両親の性格をざっくりご紹介。
義父 落ち着いていて理性的
義母 明るく社交的でおっちょこちょい
2人とも優しくて私にとてもよくしてくれるのでありがたい。
しかしながら旦那の実家を訪れたとき、そんな彼らの態度に対して腹が立ったときがあった。
ミゾスープ事件
ある日の夕方、彼の両親から食事に誘われ実家にお邪魔すると義母が私に言った。
「今日の夕飯は私たちがあなたのために和食を作るわよ。おいしいミゾスープよ。」
ミゾスープとはつまり、みそスープ。
味噌汁のことを意味する。
話を聞くと彼女の言う味噌汁とは、普通の我々が思い浮かべるそれではなく、うどんを入れたみそ味のスープということだった。
味噌煮込みうどんのようなものを想像する私。
甘かった。
姿を表したのは寸胴鍋に入った大量の熱い茶色い汁、ザルに入った茹でられたうどん、生のほうれん草、生のスライスされたマッシュルーム。
「はい、ではいただきましょう。ボナペティ!」
大きなボールに用意された具材を入れて最後に茶色い汁、これはおそらく味噌汁なのだろうが、
それをかけて召し上がれと言われても、生のほうれん草にマッシュルームが山盛り用意されている時点で私の目は点になった。
サラダうどんの汁ありバージョンかぁと自分を必死に納得させ、消化器官に語りかける。
(いいか、今まで入れたこと無いようなもの入れるからびっくりすんなよ。)
ボールにうどん、その上に控えめに生ほうれん草と、もっと控えめに生マッシュルームを盛り付ける。
そして熱い味噌汁をかける。
この汁でほうれん草たちにちょっとでも火が通って欲しいと思った私のはかない願いは叶わなかった。
「いただきます」
箸でうどんから食べた。
想像した味と違った。
予想をはるかに越えてまずかった。
そしてその理由に気づいた。
味噌のスープには味噌しか入っていない。
つまり出汁の味がしないのだった。
せっかく作ってもらっておいしくないと言うことが無礼なのはもちろん承知だった。
だが今後も彼らが出汁なし味噌汁を誰かに振る舞うのは彼らにとって良くないこと(振る舞われる相手にとってはもっと良くないこと)と判断し、確認した。
私「これ、出汁をとってないですね。お湯に味噌入れただけですよね?」
義母「そうだけど、なぜ?何か変なの?」
私「味噌汁を作る際は必ず出汁を使います。
出汁が出る素材を使うのが一番ですが顆粒でもいいですし…。」
義母「そうなの?あら、じゃあこのスープ好きじゃない?」
私「えっと、正直ちょっと変な感じです」
義母「あらーそうなのねぇ。
うちには出汁がとれるものはないわ。
じゃあスープに日本酒を足したい?」
もうめちゃくちゃである。
出汁のない味噌汁を飲んだことがある人は日本人の中にどれほどいるだろうか。
味噌汁の味を知っているからこその物足りなさ。
友達に裏切られたような悲しい気持ちになる。
そして私が腹立たしさを覚えたのはその味に対してというよりは、
敵が明らかに生のほうれん草とマッシュルームだと思っていたのに実は茶色い汁のほうだったことに対してかもしれない。
まんまと騙された。
しかし彼女はレシピにそって作ったのだと主張した。
家に帰り意地の悪い私はネットで情報を漁る。
あった。
あの切れキャラのゴードン・ラムゼイが似たようなレシピを紹介していた。
お義母さん、ラムゼイのレシピの端折っちゃいけないとこ見事に端折りましたね。
彼は干し椎茸を入れていた。
それだよね、出汁出してくれるの。
私は自分でも嫌気がさすのだが食に関してはちょっとだけうるさい。
決して舌が肥えているとかそういうことではないが、譲れないゾーンがある。
フランス人が白米に甘い醤油をかけて食べるのとか嫌だし。
スイス人家族と和食を食べに行くと、しっかり味付けされているものも刺身用のさしちょこの醤油につけて食べるのとか嫌だし。
私の日本人の親友は私が作ったキムチ鍋をポン酢で食したので私は彼女にしっかり文句を言ったし。
和食を作ってくれた気持ちはとってもありがたいんですが、出汁なし味噌汁は私のNGゾーン内に入ってしまいました。
てか味濃いのが好きなら尚更ぜひ出汁は入れていただきたい。
食に関してうるさいのとはまた別の話ではあるが、私は空腹だと非常に機嫌が悪くなるのはうちの長男とお揃いである。