遅咲きの桜を見ようと家族や友人と小金井公園へ行くことに。
行きの電車の中で隣に歳の離れた女性二人組が座った。
どうやら親子のようで、娘さんが私と同年代くらい。
「かぁわいい〜‼︎ あ、笑ったぁ〜‼︎」
「本当にかわいいですねぇ〜!お人形さんみたーい♡」
キューピー似の次男を惜しげもなく賞賛してくれた。
今日は夫婦揃って外出していたし、次男を抱っこしていたのが旦那だったので、ハーフであることは誰の目にも明らかであった。
私が1人で息子を連れているときは、
(この子、本当にこの女性の子かしら。
彼女はベビーシッターなのかもしれない。)
そう思う人だっているだろう。
小金井公園に到着。
ソメイヨシノは全て散ってしまったが、鮮やかなピンクや真っ白な八重桜のような花が満開。
人もまばらなのでゆったりお花見ピクニックが楽しめる。
そしてお腹がふくれてきた子供たちは遊びたくなってきた。
まだ心は少年なうちの旦那の他に数人の大人が付き添って広場のほうへ行ってしまった。
残ったのはケツの重い私と、私に付き合ってくれた姉と友人の女3人。
そしてキューピー。
ビールを飲みながら談笑していると、友人が何かに気づいた。
「ねぇ、なんかあっちの人たちがキューピーのこと見てるんじゃない?」
振り返ってそちらを見ると、さっきまで酔っぱらって楽しそうに盛り上がっていた中年の男女のグループが確かにこちらを見ている。
特に女性はトロける笑顔を浮かべながら。
「本当だ、見てるねぇ。じゃあせっかくだしサービスしようか」
ほろ酔いの私は調子に乗って、キューピーの両手を取り操り人形のように動かした。
ミッキーマウスみたいに激しくバイバイと手を振らせてみた。
女性陣には黄色い声をいただいたが、周りの男性たちは笑っていない。
この3人のどれからこのお目々クリクリが出てきたのか私たちの顔を見定めているように見えた。
キューピーの手を取っている女は3人の中でダントツ目が細かった。
こんなに周りにチヤホヤされながら育ったら、将来は自信過剰で性格の悪い子に育つのではないか。
ふと不安がよぎる。
でもかわいい赤ちゃんが成長するに従ってかわいくなくなるなんてよくある話だ。
「子供のころはかわいかったのにねぇ〜」
そう言われ続けて逆に自己評価の低い子に育ってしまっても問題である。
まだ髪も生えないので不安はつのる。
一方で絶賛イヤイヤ中の長男はもう話が通じるので、ますます自分の子育てで大丈夫なのか不安。
今この瞬間の自分の言動のひとつひとつが彼の人格形成を左右しているのかもと思うと、もう。
あたし何も話せない。
でもそんな訳にいかない。
とりあえず今から親子の信頼関係を築くことに努めておいて損はないと信じている。
思春期になる前に、『ママはいつでもあなたのそばにいて話を聞くよスタンス』を確立する作戦だ。
だから食事中だろうが排便の報告を受ければ嬉しい顔でどんなのが出たのか見に行くことから始めている。
毎回代わり映えしないそれに「うわーおっきぃ〜」だの「今日のは長いね〜!すごーい!」だの歓声をあげる。
彼も満足そうだ。
あたし間違えてないよね、うん。