アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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なれそうでなれないミニマリスト

ズボラで面倒くさがり屋な私は、気づけば毎日のように同じ服を着ている。
もともと服は嫌いでないし、着るものもそれなりに選んで自分が着ていて心地よい服を着るようにしている。
ベーシック命。

汚れていなければ2日3日同じジーパンを履き続けることに抵抗がない。
洗濯したものを畳むのが面倒なので干してあるものからピックアップしてそのまま着る。

こんなことを繰り替えしていたら、幼稚園の送り迎えで偶然1日置きに会うことが続いた他のママさんに
「この人、毎日同じ服着てる・・・ げ。」
と思われても仕方がないな。
っていう人のできあがり。



最近よく目にするワードがある。
『ミニマリスト』
最小限のもので生活するという意味らしい。

私は毎日同じものばかり着て、ほとんど着ない服を山ほど持っていた。
この数年間で国をまたいだものも含め何度か引っ越し、その度にふるいにかけたがまだしつこく居残っている服たちがある。
同じものを着つづけているんだから着ないものを捨ててしまえばいいんじゃないか。

私ミニマリストになれるポテンシャルは十分にありそう。
ミニマリストの引っ越し、ラクそう。

そう思って手を出した。
“こんまり”こと、片付けコンサルタント近藤 麻理恵の本に。


この本を読んだタイミングは不幸なことにスイスから日本へのすんげー大変だった引っ越しの後。




前に出会っていたら良かったのにね。
でもきっと大変な思いしてなかったらわざわざAmazonで買ってまで読まなかったかもね。

船便で送った引っ越しの荷物が3ヶ月かかってやっと到着し、本を読み終えたばかりで“こんまりモード”だった私は、着いたばかりの荷物を漁った。
そしてときめかないもの認定を受けた服や雑貨、ダンボール2箱分に別れを告げた。


そして、この厳しい審査をギリギリのところで突破したサバイバーたちがいる。
こんまりは『ときめくもの』であれば使用頻度が低くても持っていていいと言ってくれたから。

そんな、きっとこの先そんなに使わないけど一緒に人生を歩んでいこうと決めた私の『ときめく殿堂入りアイテム』をご紹介しよう。


1、 ギター

遡れば中学生のころから音楽大好き。
ギター弾けるのってかっこいい。
そう思いながら大学生になった私は、バイト代をはたいて初心者用とおすすめされたアコースティックギターを購入。
その後ギターを背負って友人宅に居候し、置き去りにして私は新居へ引っ越し。
あまりに触っていなかったので存在を忘れていた。
数年後にその存在を思いだし友人にその後のギターの行方を尋ねたところ、彼が引っ越したときに捨ててしまったと。

そして今の旦那と結婚し、ある日そんな昔の思い出話を語っていたら、その数日後に訪れた私の誕生日に彼がプレゼントしたもの、なんとギター。

いや、そんなに弾けないんだよって言うの忘れてた。
ちょっと弾けた時期もあった気がするんだけど、きっと古い思い出を美化してるだけだ。
何度か息子のためにジョン・レノンの『イマジン』を弾き語ってヒッピー母を気取ってみたけれど、息子がギターなんて物珍しいもの前に黙って聴いてるワケがなかった。
演奏妨害されてもうヤメた。

子育てが落ち着いたころにギター習うかもしれない。
あと10年は一緒にいようじゃないの。


2、 フランス語の本

ブロークンなフランス語を操ってフランスとスイスを渡り歩いてきた私。
もともと読書は好きだからそろそろフランス語の小説とか読めんじゃね?と子供向けのものを見ると買ってしまっていた時期があった。
映画にもなった『プチ・ニコラ』とか、私の人生のバイブルといっても過言ではない『星の王子様』とか他にも数冊が本棚を陣取っている。

『星の王子様』は日本語解説付きなのでまだたまに開いてみるものの、ニコラはまだ1ページ目。5年かかって1ページ。
あと5年持ったら2ページ目に進める。
よし。

外国語の本の不思議なところは、持っているだけで自分がこのくらいのレベルで話せるんじゃないかと錯覚させる力があること。
今夜から枕の下に置いて寝たら数年後にはフランス語ペラペラになるような気さえする。

ペラペラを夢見てあと数年はニコラに一緒にいてもらおう。



3、 ZARAのピッチピチのジーパン

これが一番この先使う可能性低い気がする。
だってピッチピチなんだもん。
スキニーはスキニーでも、今の私のサイズよりワンサイズ下のものなので、履くとサイドの縫い目が、イーーーーってなってる。
糸たちが切れてたまるかとチームワーク発揮して必死にこらえてる。

なんでそんなの未だに持っているかというと、今から9年前、初めてフランスのシャンゼリゼ通りに行ったときにそこのZARAで購入した思い出のジーパンだから。
何度となく捨てようと思った。
そしてこのジーパンを手にとる度に、シャンゼリゼのキラキラしたクリスマスのイルミネーションがまぶたの裏に蘇る。
ジーパンに別れを告げたらこの思い出も失ってしまう。
そんなの悲しすぎて無理。

フランスに来たばかりだった私は、自ら努力したのか初の海外1人暮らしに緊張したせいか理由はもはや忘れ去ったが通常の私よりちょっと痩せていた。
そしてその痩せた自分に合わせてジーパンを購入した。
半分は乳脂肪でできているフランスの食事で肉がついていく半年後の自分の姿なんてシャンゼリゼにいる女子の頭には無かった。


以上が殿堂入りした面子。
今後の私の人生の目標が決まった。


『フランス語ペラペラの痩せたギタリスト』


いや、これに比べたらミニマリストの方がなれそうな気がする。