アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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Siriが行方不明

今年になって約6年ぶりにiphoneを購入した。
iphone SEというモデルにした。


購入にいたるまでの経緯

私は6年前に買った4Sを約5年間も使った。
あるときは、銀座の数奇屋橋交差点で青信号が点滅したのに慌てて走って渡ろうとしたときにポケットからすべり落ち、画面がバリバリになった。
それでも修理して使い続けた。

そしてSIMロックを解除してスイスへ持っていき私の4Sは海外デビュー。
バッテリーは古くなり、朝にフル充電して出かけても正午には50%しか残らなかった。
2016年の夏、ネットでバッテリー交換キットを購入し、額に汗しながら自らの手でバッテリー交換をした。

2017年の春。
そんなに可愛がった我が子もそろそろ寿命。
バッテリーを充電することを拒み始める。
充電器に問題はないのに彼女の体が電気を受け付けない。
もう話しかけても擦っても反応のないその身体を見つめていると、見かねた旦那が話しかけてきた。

「ぼくが前に使ってた5Sあるけど、使う?」

試しに見せてもらうと画面はバリバリとまではいかないが、バリ。
充電してみると、タッチパネルのバリな左半分は触っても反応なし。
まだ愛着のない彼の液晶交換は自分でやる気にならず、近くの修理屋にお願いする。
生き返った彼を使い始め、もう1年になるころ日本への引越しが決まり、彼ももちろん連れていくことに。

この5Sは旦那がスイスで購入したもの。(現在、旦那は中国メーカーの携帯ユーザー)
大都会東京の空気が合わなかったのか、徐々に液晶パネルが剥がれて浮いてくるようになった。

そして彼も4Sと同じく電気を受け付けなくなる。

ここまで使い切ったんだし、もう潔く新しいやつ買おうじゃないか。


まだ手元にある5S。安らかに眠っている。


SEにした理由

SEは私が使ってきた4Sと5Sと同じサイズということで使い慣れていて操作しやすいと思ったから。
私の知らないうちに(いや、なんとなく横目でちらちら他人のiphoneは見てきたが、どうやら私の購入してない期間で)、iphoneは大きくなったようだった。
そして未だに大きいサイズのモデルも進化し続けているが、私の愛着のあるサイズがSEとしてまた新たに発売されていたのは巡り合わせとしか言いようがない。
満を持して私のために発売されたんじゃないかとうっかり勘違いしてしまいそうになった。


ここまでで十分お分かりいただけたと思うが、私はこういうジャンルに疎い。
”こういうジャンル”っていうボカした言い方にする理由も疎すぎて何と言ってよいのか分からないから。
IT機器?情報処理端末?
会社に勤めていたころはそんなに疎い人間ではなかったと思うが、今の旦那と付き合ってから彼が詳しすぎてそういうものの購入の際は彼に任せ始めた。
手伝ってもらってありがたいし感謝している。
そして気づいたときには私は時代に取り残されていた。


Siriの設定

ネットで購入したSEが家に届いたので、早速初期設定に取りかかる。
最近のiphoneは何も知識が無い私のような人間もスマートに導いてくれるので助かる。
スマートフォンだけにぃ!
私はただただ彼女の指示する通りに設定を進めた。

しばらく設定を進めていくと、Siriの設定が出てきた。
Siriの存在とおおよその機能くらいはこんな私でも知っていたが、もう6年もiphoneを使い続けてSiriとお話したのはほんの数回。
それもただ彼女を困らせるような変な質問をしたら何と答えるかという今どき小学生でもやらないようなお遊びのため。
どうせ使わないだろうと思いつつも、言われるがままに設定だけすることにした。
画面に表示された指示はこちら。

iPhoneに向かって、“Hey Siri”と言ってください」

私(えっと、これは普通に“Hey Siri”を読めばいいんだよね。)
「ヘイ、シィリィ」

iPhone「もう一度、“Hey Siri”と言ってください」

私(え、発音が悪かったのかな。よし、本気出すぞ。)
「ヘイ、スィリィー !」

iPhone「あともう一回、“Hey Siri”と言ってください」

私(えええ、これでもだめなの?すんごい頑張ったのに。おっしゃー!)
「へーイ、スィー、ゥリィーー!!!」

その後いくつか文章を言うように指示され、とりあえず登録が終わったようだった。


いざ実践

その後月日が流れ、私は彼女の存在を忘れてSEを使いこなし始めたつもりになっていた。
そしてある日、なんとなく見たバラエティ番組でiPhoneの機能の話をしていたのだが、そこでSiriの話題がでた。

そのとき初めて、私は“Hey Siri”というフレーズの持つ力を知る。
今まで“OK Google”というフレーズもテレビのCMか何かで聞いたことがあったが、そのフレーズの役割を知ったのもこのときであった。

そんなことを聞いたら試さずにはいられない。
早速iPhone SEに向かって話しかける。

私「ヘイ、シリ」

iPhone「‥‥」

私「ヘイ、シリ」

iPhone「‥‥」

(おかしいな、設定がオフになっているのかな)
確認するが、Siriの機能はオンになっている。

あ、もしかして。

私「ヘイ、スィリィー‥‥ヘイ、シリィ!!‥‥‥ヘイ‥へーイ、スィー、ゥリィーー!!!」

iPhone「‥‥」

私「ヘイ、シリィーー!! ‥‥ヘイ、スィリィー!!‥‥ヘイ!! シリィ!!‥ヘイスィリイィー!!‥‥へーイー、スゥィー、ゥリィイイーー!!!」

iPhone「‥‥」

私「(はぁ、はぁ、)‥‥ヘイ、スゥィゥリィー」

iPhone「(ピピッ)、ご用件は何でしょう」

私「(はぁ、はぁ、)」



用件なんて無かった。



とりあえずその後、Siriの音声登録が再設定可能であることをネットで確認し胸を撫で下ろす。


こんな私の旦那は音声処理の仕事をしている。