アルプスから高尾山

国際結婚しスイスに5年住んで帰国した主婦が日本とスイスのギャップに弄ばれる

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最近スイスが恋しい理由 

まだ5月だというのに暑い日が続く。
週間天気予報を見ると最高気温は明日を除いて25度以上。
私が住んだスイスの町は、真夏の平均最高気温は24度。
そして湿度は日本より低いのでサラっとしていて暑くてもあまり不快感がない。
今の時点で毎日のようにTシャツを汗だくにしている私たち夫婦。
これから本格的に夏が到来したらサウナで生活するような状態になるのかと今から心配している。


最近そんな私たち夫婦は毎日のように呟いている。
「ああ。テラスでビールが飲みたい」と。


テラスぅ?また気取ったこと言っちゃって。
これだから海外帰りはウザいわ。
と、私もスイスに行ってなかったら思ったかもしれない。
私がここで言う『テラス』とはただ外で飲み食いする場所だが、たぶん日本でテラスと言うと真っ先に出てくるのは表参道や青山辺りの洒落たカフェやレストランにあるもの。
そこに座るのもお洒落なセレブやその世界に近づきたそうな人たちという(私の勝手な)イメージ。

あと日本でテラスがある場所と言って思い浮かぶのはスターバックス
こちらは気兼ねなく座ることができそう。

パリでよく見かけるのが通りの方を向いて座るタイプのテラス。
これは、一般人が座って大丈夫なのか?と心配になったりする。
パリのシャンゼリゼオペラ座界隈のレストランでアジア人観光客は通りに面したテラス席には通してもらえないなんて悲しい噂も聞いたことがある。


テラスはお洒落?

スイスをはじめヨーロッパの国々でテラスはそんな敷居の高いものでも何でもない。
それなりの大きさの町であればテラスは街中どこにでもあるもの。
いや、山の頂上のレストランなどはさらにテラス必須だし、きっと田舎の小さな村にもありそう。
もちろん場所によってはお洒落して友達とお茶している人だらけなところもあるが、学生、親子連れ、そして仕事帰りにお疲れ様の一杯をやっている人々もたくさん。


私の場合、週末前の仕事終わりに帰宅しようと職場を出ると足が自然とテラスに向いていた。
ちなみに私の夏の定番アウトフィットはTシャツにジーパンにビーチサンダル。
『汗』という名のパフュームも欠かさない。

そして私がテラスに座ってビールを飲んでいると、私の後に仕事を終えた同僚もまるで私と彼女の間に磁力が存在するかのようにテラスに辿りつくのだった。
そしてお互いの旦那の愚痴をつまみに飲む。
すると旦那から「帰りが遅いがまたいつものところにいるのか」と私のケータイに連絡がくる。
そして数分後に彼が合流し、つまみは仕事の愚痴に変わる。

テラスとはそういう場である。


ここ東京で『テラス』探し


私が「テラスでビールを飲みたい」というときの『テラス』に相応する場所はどこなのか考えてみた。
それは決して表参道や青山にあるようなものでない。
テラスに行く目的はリラックスしてビールを飲むこと。
真夏にあんなところに座ったら、緊張でますます汗が吹き出て高いビールを何杯もおかわりし一瞬で散財するはめになるだろう。
だからと言って気軽に利用可能なテラスがあるスターバックスに行ってもビールはない。

残念ながら今うちの近所にはテラスが見当たらない。
もっと都心に住んでいたら新橋のガード下や浅草のホッピー通りなんかに行きたい。
表参道のそれに比べたらそっちのほうが私の求める『テラス』に近い。
しかしそこへ足を踏み入れたら美味しそうなおつまみの誘惑が待ち構えている。
もちろんそれを食べながら飲むビールは最高なのだが、それは毎日できることではない。
忘れるところだったが私には子供が2人いるし、今は無職で旦那の稼ぎで食べている。
同じ理由でビアガーデンも行きにくい。
もっと気軽に立ち寄りたいのである。


そこで思い出した。
日本にはPRONTO(プロント)という店があることを。
PRONTO -プロント-
プロントの検索結果画面に表示される説明文は以下の通り。

一つの文化とも呼べる、新しいくつろぎの場の創造。それがプロントの役割です。

己のポジションが唯一無二だとどうやら自覚していそうなことを文面から感じ取ることができる。
頼もしい。
ここはカフェでもありバーとしてアルコール類も出している。
そして安い←これ至極重要。
ここなら“ちょっと一杯”が気軽に出来る。
そして私が喉から手が出るほど求めている『テラス』がある店舗も‥‥ある!
もちろんうちの近所には‥‥ない!


テラスが好きすぎるフランス人

天気がいい日、レストランのテラス席には人が溢れかえり、トイレに行こうと店内に入るとガラガラということがよくある。
ヨーロッパの人々は本当にテラスが好き。
スイスでは夏が短いので、みんな暖かい季節を存分に楽しもうとしている。
まだ肌寒いと感じる気温だろうが、7月にもなれば水辺もない公園に水着で寝転がる人が出没しはじめる。
湖沿いにも、水着で寝転ぶ人はもちろんのこと、鳥肌だらけになって奇声を発しながら湖に入る若者や、黙って入る若くない者たちが現れる。
湖沿いにも季節限定のテラスが出現し、みんな湖畔で最高に気持ちの良いときを過ごすのだ。


一方、おとなりフランスのパリでは一年中テラス席が人気。
テラス席にも暖房があり、冬になればもちろん中に比べればだいぶ寒いのだがそれでもテラスに座りたがる人も少なくない。
夏は言うまでもなくテラス。
ちょっとビックリしたのは真夏にテラスで寿司を食べる人たちを見たとき。
照りつける太陽はテラスのパラソルをちょうど良くよけて寿司をまぶしく照らしていた。
そしてフランス人は会話を楽しみながらゆっくり食べる人が多い。
というより会話が弾みすぎて口に食べ物が入るチャンスが少なめだったりする。
もう何十分と放置されたであろう寿司のネタはもちろん乾いている。
あれ、よく見たら、もう魚に火入ってない!?それとも、あぶり!?



なんだかテラステラスと言いすぎて気が遠くなってきた。
今夜とりあえず旦那が帰ったらテラス席のあるプロントがある町の不動産情報でも見てみるか。
いや、先日「ベランダでビール飲めばいいじゃん!」と言った彼に言っても無駄だな。


うちのアパートのベランダの幅、50cmあるだろうか。